「インターネットマーケティング」という言葉を聞いて、どのようなものを想像しますか?「インターネットのマーケティングでは?」と漠然としたイメージは持てるものの、詳しくとなると難しいと思います。
テレビや雑誌などの大手広告媒体が縮小していく中、インターネットは拡大を続けています。2016年時点、インターネットの普及率は日本国内だけで93.33%にも。インターネットでマーケティングしない手はないほどです。
今回はこのような背景を元に、インターネットマーケティングにおける成功事例と課題について考えたいと思います。ぜひ、この記事を参考に今後のインターネットマーケティングへの挑戦に役立ててみてください。
目次
1.インターネットマーケティングを行う企業数
冒頭で紹介した、インターネットマーケティングですが「自社は何もしていない」と不安になりませんでしたか?2015年、経済産業省のもと日経BP社が行った調査によると、インターネットを含むソーシャルメディアでのマーケティングを行っている企業の割合は、63%にも登るとのことです。
また、今後は取り組みたいと考えている企業の割合は、35%ということに。つまり、全体で98%の企業がインターネットマーケティングに対して、前向きな考えを示していることが分かります。
インターネットマーケティングって何をするの?
インターネットマーケティングにはさまざまな手法がありますが、一般的には商品・サービスに関するコンテンツを制作し、インターネットを利用して顧客に届けるというものです。ここまでは、テレビや雑誌と大差ありません。
インターネットマーケティングはコストが低い!
テレビや雑誌など、大手広告媒体を利用してマーケティングを展開する場合、CMや広告記事など少なくない費用が掛かります。CMに至っては、1本制作するだけで1,000万円以上ということも珍しくありません。
その点、インターネットは全世界に24時間365日開かれている上、コンテンツを1度制作してしまえばあとはほとんどコストを掛けずに流すことができます。自社でコンテンツを制作すれば、ほぼコスト無料で制作することも可能です。
そこで「自社は何もしていない」と、最初の問いに戻ります。では、「自社HP」「自社アカウントのSNS」などは持っていませんか?HPもSNSも、インターネット上に何か情報を流しているのであれば、立派なマーケティングです。
2.インターネットマーケティングの成功事例
多くの企業がインターネットマーケティングに取り組む中、成功している事例というのは決して多くはありません。では、成功と失敗?、の間にはどのような違いがあるのでしょうか?成功事例をもとに考えてみましょう。
はなまるうどん
2013年4月1日、大手チェーン飲食店の「はなまるうどん」が自社HP上で、ダイオウイカの天ぷらを新商品として発表しました。その価格は、なんと87,000円。ダイオウイカと価格のインパクトからSNSを中心に話題となり、通常の24倍ものアクセス数を獲得したほどです。
日付から「エイプリルフール」の企画ということで、「嘘かな?」と思うかもしれません。しかし、1週間前に予約する必要はあるものの、実際に販売されていた商品です。※現在は終了しています。
この成功事例の特徴は、「ありえない!」という驚きが一瞬にして飛び込んでくるということです。また、この情報を誰かと「共有したい」という思いから、SNSを通じて広く拡散したと言えます。
グリコ
2013年11月11日、大手菓子メーカーの「グリコ」が自社HP上で、ツイッターによる「ポッキー」とツイートすることを呼びかけ、24時間以内に世界記録を狙うキャンペーンを発表しました。その数、なんと4,371万ツイートを達成したほどです。
また同日、「ポッキーロケットプロジェクト」ということで、ポッキーを模したロッケト発射計画も発表しています。発射されたロケットは1,160mまで到達した上、371万44ツイートを得るまで拡散されました。ちなみに、ポッキーロケットからの映像は、今でも複数の動画投稿サイト上で観ることができます。
この成功事例の特徴は、企業と顧客で1つの「目標を共有する」ということです。その上、「時間制限」を設けることで企業と顧客の仲間意識と競争意識を高め、多くの情報が拡散される結果になったと言えます。
ソフトバンク
2013年4月18日、大手キャリアの「ソフトバンク」が自社HP上で、「ケータイ代金一生分を無料!」とするキャンペーンを発表しました。当選者には最高5,188,000円もの商品券がプレゼントされるということで、15万名以上が応募しています。
ちなみに、他には「一生しゃべくりキャンペーン」と題して、24時間通話定額オプションの一生分(50万円の商品券)が当たるキャンペーンなども発表されています。こちらも5万名を越す応募ということで、大きな話題となりました。
この成功事例の特徴は、顧客が「大きく得をする」キャンペーンを大々的に発表している所です。また、宝くじや競馬などとは異なり、顧客側がいっさいの「リスクを負わない」ということから、これだけの応募につながったと言えます。
上記の成功事例に共通することとしては、「インパクト」が挙げられます。SNSにより一般人でも広く情報を拡散できる時代、「誰かに伝えたい」と思えるような情報はインターネットマーケティングにおいて大きな武器となるのです。
3.インターネットマーケティングの課題
先述した通り、インターネットマーケティングは使い方次第で顧客との大きなつながりを作ることが可能です。ただ、そんなインターネットマーケティングにも課題がない訳ではありません。
企業の「見せたい」と顧客の「見たい」は違う
マーケティング全般に言えることですが、企業が見せたい情報と顧客が見たい情報というのは、その多くがずれてしまうものです。特に、インターネット上では一瞬でも顧客が「見たくない」と感じてしまえば読み飛ばされてしまいます。
ただ、だからと顧客が見たいものだけを用意していたのではマーケティングになりません。大切なのは、顧客が「見たい」と思えるコンテンツの中に、さりげなく企業が「見せたい」情報をちりばめることにあるのです。
企業側に技術のある担当者がいない
テレビや雑誌など、大手広告媒体では多くの専門職が存在しています。反面、インターネットマーケティングになるとほとんど専門職が存在していません。当然、企業側に技術のある担当者もまずいないのです。
ただ、インターネットマーケティングは専門知識・技術がなくともアイディア次第で大きな成果を挙げることも可能です。先述したような企業の成功事例は、全てちょっとしたアイディアにより達成できたものと言えます。
道具はあるのに使いこなせていない
インターネットという道具は、今では小学生の子どもでさえ活用できるものです。しかし、道具が使えるのと「使いこなせる」というのは大きく異なります。正直、インターネットを使いこなせている企業は多くありません。
その理由は、インターネットが急速に発展し、HP一つとってもその表現方法はさまざまであるためです。このインターネットの成長にその都度対応し、合わせたコンテンツを提供できるかが課題でもあります。
4.まとめ
今回は、インターネットマーケティングの成功事例から考える、成功の秘密と課題についてまとめてみました。いかがでしたか?インターネットマーケティングの手法は数多くありますが、ポイントとなるのは顧客が「見たい」「共有したい」と思えるコンテンツを作れるかどうかです。
ただ、顧客の意見を100%反映していたのでは、企業が「見せたい」「広めたい」情報を伝えることができません。そこで大切となるのはバランスです。インターネットマーケティングという道具を使いこなし、企業と顧客のより良い関係づくりに役立ててみてください。